みなさんにおかれましては、二月下旬から、散発的に発生してきたキャンセルが三月に入り一気に増加し始め、いきなり4,5月の売り上げが全く見えなくなるという劇的な環境変化に戸惑いながらも、数多くの経営判断を強いられる日々であることと思います。
常日頃から、経営には“鳥の目、虫の目、魚の目が必要”と言われますが、今回のような緊急事態においても同様なバランス感覚が求められます。
まず真っ先に、資金が途絶え営業継続が難しくなることを回避するために金融機関に“走る”のは当然のことでしょう。また、従業員の雇用を確保しながらも費用流出を最小化するために出勤調整の算段をし、雇用調整助成金の確保を検討する。その真っ只中にいると、つい忘れてしまうのが、“鳥の目・魚の目”です。これを読んでいるみなさんからは、「何を言っている!先のこと語る前に今どうするかが重要ではないか!」とお叱りを受けるかもしれません。
これまでも、我々は数々の天災に遭遇してきました。大地震・台風、それぞれにたいへんな目にあいながらも、乗り越えてきました。その時もやはり重要なのは状況を瞬時に見極め迅速な対応をきめ細かく実行した企業がダメージを最小化できました。ただ、今回のコロナ禍は、これまでの天災とは様相が違うのではないかと、我々は気づき始めています。それらイベントは、ある限定的な期間に発生し、そのダメージの後処理を短期間に完了させる性格のものであったと理解しています。
現在、まさにコロナ禍の渦中にありますが、早期に収斂してほしい気持ちはもちろんですが、いつ収斂するのか現時点で明言できる識者はいないと思います。かりに日本で沈静化したとしても、世界のどこかであらたに感染が拡大するということも十分考えられます。緊急処置として数々の手立てを打ちながら、今回の試練が誘因する観光の行動変容にもアンテナを立て準備する必要があるという難しいことを、我々は実行していかなくてはならないのかもしれません。
宿泊業は、施設産業である宿命から多額の資金調達を前提にビジネスモデルが構築されています。今回の資金の緊急調達は計算外のものではありますが、事業を維持・継続していく上では、それを飲み込んだうえで事業計画を再考する必要があり、そのためには“鳥の目”が必須です。また、これまでに収益の前提と化していた、「インバウンド需要」は、どの程度で回復するのか、サービス提供形態として重要な位置づけであった「ヴュッフェスタイル」が顧客に受け入れられるのか、今まで以上に期待される「国内需要」の動きはどうなるのか等々、世の中の動きを事前に察知する“魚の目”も同様に必要となります。
みなさんが、数多くの意思決定を行っていくうえで、ご自身だけで多くの情報や先行事例を獲得していく上での「手段」として本サイトが使われることを願っています。